学費は特別受益になりますか?


質問
父親が亡くなりました。母は既に死亡しており、父親の相続人は、私を含めた子ども3人です。ところで、父は医者で二男である私も医者をしています。しかし、兄は理系の大学院を卒業して就職し、妹は文系の大学院を出て現在は大学で研究者をしています。父の遺産分割について、兄妹で話し合ったところ、妹は、私と兄は妹よりも学費で多額の金銭を父に出してもらっており、その学費の分を考慮して遺産分割を行うべきと言って譲りません。たしかに私と兄の学費は文系の大学院を卒業した妹よりかかっていますが、このような学費の差額は法律上、遺産分割協議の中で考慮しなければいけないものなのでしょうか?
 

回答
法律上は、遺産分割協議の中で考慮する必要はないと考えます。
 

●特別受益

共同相続人のうちに生前、被相続人から生計の資本として贈与を受けたものなどがある場合には、当該財産分を遺産分割にあたっては、遺産とみなして、相続分を計算するというのが法律の規定です(民法903条1項)。要するに、共同相続人であれば、被相続人からもらったものが生前か死後かによって分ける必要はないと考えられるので生前贈与分を遺産分割の前渡しと考えようということです。ただ、特別受益にあたる場合でも被相続人の持ち戻し免除の意思表示があった場合には相続分の計算に算入されない場合があるので注意が必要です。

●生前贈与

生前贈与がすべての法律上の特別受益になるわけではなく、「生計の資本としての贈与」といえるかどうか、遺産分割の前渡しとして考えられるかどうかという点を検討しなければなりません。たとえば、生前に相続人の生活を維持するための継続的な仕送りをされていた場合があります。程度問題ではありますが、生活を維持するための金銭程度であれば扶養義務の範囲内と考えられますので、通常は法律上の特別受益にはなりません。

●持ち戻しの免除

学資の場合も、大学教育などは「生計の資本」にあたる可能性がありますが、扶養義務の範囲内の問題として処理すべき場合も多いと考えられますし、今回のご質問のようなケースについて扶養義務の問題として処理した裁判例もあります。また、仮に学資が法律上の特別受益と評価される場合でも、持ち戻し免除の意思が表示されているものとして相続分の計算に算入しなかった裁判例もあります。


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